減塩の風潮
食塩は人間にとっては無くてはならないものです。しかし、最近では減塩、減塩とマスコミでは騒がれ、減塩食品もいろいろ登場するようになりました。すっかり厄介者あつかいの食塩です。
本当は私たちが生命を維持するために非常に重要な役割を担っています。まずは塩の役割をおさらいしてみましょう。
今からはるか昔の38億年も前のこと、地球上で初めて生命が登場し、陸上動物の祖先についても、当初は海の水を体内に閉じ込めて上陸したとされています。当然ですが、私たち人間の体内水分は海水とかなりよく似ています。
生物が進化していく過程で、生命維持をするために最も必要なものはカルシウムや栄養分となっていますが、海水も細胞にとっての環境づくりに無くてはならないものです。現在でも私たちの体の各細胞は、同様の塩水の中に浸っているのです。この体内の塩分バランスが崩れると、倦怠感を覚え、食欲も不振になって活力も減退してしまいます。
塩分というのはナトリウムのことですが、生命維持に不可欠なのです。つまり、塩・塩分に対して、人間が無意識に欲求を持つのはきわめて当然のことなのです。
塩が体液量と血圧を支配しています。水分(体液)は体重の約3分の2を占めていますが、その中に塩(ナトリウム、塩素イオンなど)が細胞の内と外の浸透圧をコントロールしています。浸透圧の均衡が崩れると、体液量が減少、増加したりします。こうした体液量の変化は、血管を流れる血液量、つまり血圧にも大きな影響を及ぼします。塩分は非常に重要なのです。